日本の水産業の中で今回ご紹介したいのが、カツオの一本釣漁船。
全国に約50隻ほどあるカツオ漁船の中で年間を通して日本一の水揚量を争う。
そんなカツオ漁船で戦う男たちを数回テレビなどで紹介されている。
普段は見ることのない仕事への情熱が伝わり、働く男はかっこいいと思わせてくれる。
その中でも漁労長と呼ばれる言わば船の親方に注目しよう。
現場を最前線に引っ張る親方の仕事に対するリーダーの考えなどから学ぶ。
目次
まさに男の戦いのような仕事
カツオ漁師たちは年間を通して2月~11月までの約10か月間海に出る。
船員は約20~30名ほどで
海に出るとほぼ1週間は港には帰らず、船での共同生活となる
その間、愛する家族と会えるのも数回だという
カツオ漁船は船一隻が一つの会社のような存在
もちろんエサ代や燃料費などその他多数の経費が必要になってくるし
そこをうまくマネジメントしなければ利益確保に関わってくる
同じ船で生活する船員たちの責任も背負っている
そして一番重要なのはみんなの力で売上を上げる事。
つまりカツオを多く釣り上げる事。それが全てである
そのための戦略や方法は漁労長の腕にかかっている
船員たちは船の中で役職などに就任したりすると給料も上がったりする。
ですが、新人の頃は竿を持ってカツオを釣り上げたり他の業務と並行してといろいろと学んでいかなければならない事は多い。
船や漁師だからと特別かと思われるかもしれないが、仕組みなどは普通の会社と何ら変わりはない。
特別な事といえばやはり家に帰れない期間が長いという事、船での限られたスペースで生活を送らなければならない。
リーダーの腕と長年の勘
船の大きさも様々で最大の積載量も違えばスピードも燃費も違う
カツオの群れや鳥の群れを見つけ出す為のソナーやレーダーなど数千万円もする機材を用いてカツオを探し出す。
そして機械だけではなく、漁労長自ら情報収集し位置や水温などデータを集めどこに向かうかなど魚を見つけ出す能力はリーダーの実力と経験なのだ
鳥山と呼ばれる小魚を求める鳥の群れが目印であったり、小魚がカツオに追われて逃げている時に海面に波をたてて起きるナブラという現象を
広い海の中から見つけ出したりする。
日本一のカツオ漁船ひきいる明神水産グループ 「明神丸」の
漁労長:明神 学武(みょうじん まなぶ)さんは
「カツオは趣味で、船に乗ったらカツオの事しか考えなくなるのがダメなところ」と
かなりこの仕事が好きなのがうかがえる
彼はデビューの年に日本一を取り
2005年、2009年、2013~2017年連続日本一の実績を持つ実力者です。
出典:Face book 明神水産株式会社
船員からの信頼は絶大で 明神 学武さん のカツオを探し出す力を信じている船員達は不安もなく楽しそうにしている。
どのカツオがいつ、どこで、どれくらいとれたか記録を集めピンポイントに狙う
やはり実力のあるかたには安心して付いていけるのだろう。こうなりたいといった目標にもなりやすいのではないか。
2018年には同社、森下靖船頭率いる「第123佐賀明神丸」が日本一の座を奪った。
森下靖さんはインタビューで
“仕事をがむしゃらにやっても、死ぬときは死ぬ。ある程度頑張ったら、やはり仕事は楽しまないとという気持ちの入れ替えはできていた。
日本一になる為には敵は相手ではない、自分がやるだけだとも。平常心を取り戻し、まずは自分に勝とうと決めた。”
引用:NEXT MYOJINMARU 「カツオ一本釣船に人生をかける森下靖の想い」
人と争わず、自分に向き合うこの考えこそが日本一になる決め手だったのだろう。
他の上位を争う船の漁師たち、ある船員は今シーズンで船を降りると決めたときにこう言っていた
「若者の負担になるような年寄りになる前に降りて、そこからまた自分の人生を楽しむ。男は引き際が大事」
若者がもっと自由に伸びて成長できるように邪魔はしない、自分は自分でまた楽しさを見つけると
そう言えるのもすごく素敵で、かっこいい
別の船では、船頭は本気でやっているからこそ熱くなり、つい出る指示もキツくなる。
そして若者とベテランを競い合わせ成果を上げるといったやり方でやっている。
船によってやり方や仕事の教え方は様々だ。
それについていく若者は自ら腕を上げる為ビデオなどで勉強する。
また、先輩たちも若者が成長すれば船全体のレベルが上がる為一緒になって教えてくれる。
そんな船頭は
「漁師は熱くなくてはならない、熱い気持ちを伝えていかなければ」
と言っている
憧れ、目標、向上心を持たしてあげる
リーダーに共通するのは、本当に好きなことを全力でやる。
仕事に文句を言って、弱音を吐きネガティブなことばかり言うリーダーについていこうという人はいないだろう。
真剣に好きなことを突き詰めて本気になっている姿についていこうと仲間が増えていくものだと思う。
そして仲間同士で若い子を成長させる為に協力し、その意識が若者自身の向上心にもつながる。
自分自身に本気で常に日本一を目指しているからこそ実力が付き、その実力に仲間が信頼してついてくる。
日本トップクラスのカツオ漁師のリーダーの本気さが伝わるからこそ良い仲間が集まり、最高の結果が出せる。
若者を引き付けるのもリーダーの魅力と実力次第。
労働環境だけではないのかもしれない。